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共用部分と専有部分

2012.11.17.14:33

「共用部分」と「専有部分」
1 はじめに
 マンション管理において、意外と知っているようでその限界が難しいのが共用部分と専有部分との区別です。マンション管理において基本となるものですから、しっかり理解するようにしましょう。
2 共用部分と専有部分の区別
 区分所有法によれば、「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいい、「専有部分」と言えるためには、①構造上の独立性と②利用上の独立性が必要です。通常、各住戸にあたる部分が専有部分となります。一方、「共用部分」とは、①専有部分以外の建物の部分、②専有部分に属しない建物の附属物、③法4条2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいいます(法2条4項)。この共用部分には、法律上当然に共用部分となるもの(これを「法定共用部分」といいます)と専有部分の要件を満たしつつ区分所有者の定める規約により共用部分となるもの(これを「規約共用部分」といいます)の2種類があります。規約共用部分は登記をしないと第三者に共用部分であることを対抗することができないのに対し(法4条2項)、法定共用部分は客観的な性質から共用部分であることがわかるため、登記をしなくても第三者に対抗することができます。
3 共用部分の具体例
 一般的にいえば、①廊下、階段室、エレベーター室は法定共用部分です。②集会室、管
理員室、物置、倉庫、車庫などは規約で共用部分とできます。③ガス・水道の配管、冷暖房設備、消防設備、昇降機などの建物の附属物のうち、専有部分に属すると認められるもの以外は、法定共用部分です。
4 以上のように、共用部分と専有部分との区別は明確であるように見えますが、実際には裁判上争われた例も多く、細かい点までみるとなかなか難しいものがあります。
(1)柱、壁、床、天井など専有部分相互間の境界について
 共用部分と専有部分との区別についていくつかの考え方がありますが、建物の維持管理の面や区分所有者の意識及び保険実務の考え方などからは、「上塗り説」という考え方が妥当とされています。すなわち、境界部分の骨格をなす中央の部分(躯体部分)は共用部分だが、その上塗りの部分(壁紙部分)は専有部分であるという考え方です。標準管理規約はこの立場を採用しています(同規約7条2項1号)。
(2)建物全体を維持するために必要な支柱、耐力壁、屋根、外壁等について
 これらについては、それがたとえ専有部分内にある場合でも、法律上当然に共用部分となるとされています。この点、屋上を共用部分とした判例があります(大阪高判昭52.9.12)。
(3)管理員室について
 その形態が管理員の居宅として使用されるかなどによって、法定共用部分なのか規約共用部分なのかに分かれます。
(4)ピロティについて
 通常完成された建物の空間として、広場・集会所・ホール・緊急時の非難通路としての用途を有しているため、法定共用部分とされます。
(5)ベランダ・バルコニーについて
 これらは、場合によっては居室部分に附属して一体をなすものとして専有部分であるとされることもありますが(広島地判昭54.3.23)、一般的には法定共用部分であって、各区分所有者が専用使用権を有するものとされています(最判昭50.4.10)。ベランダ・バルコニーの多くは、それが上階のベランダ・バルコニーの床となっていることや非常時の避難路の役割を有していることなどからです。
(6)玄関扉、窓枠、窓ガラス
 玄関扉は、錠及び内部塗装部分は専有部分ですが、それ以外は共用部分です。また、窓枠、窓ガラスは、専有部分ではなく共用部分とされています(標準管理規約第7条第項2号・3号)。雨戸又は網戸も同様に共用部分です。
                                              以上
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Author:橋本俊雄
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三重県四日市市の特定行政書士・マンション管理士です。遺言・相続、契約、離婚手続などの民事法務と中小企業経営支援、マンション管理組合支援を柱に業務を行っています。
法律関係の話題と日々の思いを綴ってゆきます。
どうぞよろしくお願いします。

橋本行政書士事務所所長
特定行政書士、マンション管理士
TEL 059-355-1981

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