認知とは何か?未成年者や成年被後見人も認知は可能か?
2015.03.28.15:24
【質 問】
高校生になる娘が妊娠してしまったようです。相手は学校の同級生であり、まだ17歳であるとのことです。娘はどうしても産みたいとのことですが、相手に生まれてくる子の父親として認めてもらう方法として、認知というものがあると聞きました。認知とはどのようなものですか。また、未成年者でも認知はできるのでしょうか。
【回 答】
結 論 未成年者でも認知は可能です。また、胎児中でも認知することができます。
以下、認知について基本的な解説をします。
1 認知の種類
認知には、任意認知と強制認知の区別があります。
任意認知とは、届け出によって行う認知のことをいいます。これに対し、強制認知とは、父が認知しないときに、子(その直系卑属又は法定代理人)が起こす認知に関する訴えをいいます。
2 任意認知
(1) 認知を行う者
民法779条では、嫡出でない子は、その父又は母が認知することができると規定されています。
ただし、「母とその非嫡出子との親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する」とするのが判例の立場であり(最判昭和37.4.27)、母の認知行為は必要ないこととされています。
したがって、認知が意味を持つのは婚外子の父子関係についてのみです。このような意味で、認知は婚外子の父子関係の成立要件となります。
(2) 認知の効果
法律上の父子関係は、認知によって生じ、その効果は出生のときに遡ります(民法787条)。これにより、相続権や扶養義務などの法律上の義務は、認知により生ずることとなります。
逆に言えば、これら法律上の相続権や扶養義務などは認知がないと生じないということです。なお、扶養義務は親権とは無関係ですので、認知されれば、親権者でない父に対しても子は扶養請求をすることが可能となります。
(3) 認知の方式
認知は、戸籍法の定める届出によって行います(民法781条第1項)。また、認知は遺言によっても行うことができます(同条第2項)。届出による場合は創設的届出であり、届出によって効力が生じますが、遺言による場合の届出は、報告的届出であり、効力は被相続人の死亡により生じていることとなります。
(4) 認知の要件
認知については、最低限意思能力が必要ですが、行為能力までは必要とはされていません。したがって、未成年者でも、また成年被後見人でも、意思能力があるかぎり法定代理人の同意なしに認知をすることができます(民法780条)。
認知は、父がいつでも自由に行うことができるのが原則ですが、例外もあります。
① 認知される子が成年者であるときは、その子の承諾が必要です(民法782条)。
② 胎児を認知する場合は、母の承諾が必要です(民法783条第1項)。
(5) 認知請求権の放棄
認知請求権を放棄することが可能かについては、判例は、これを認めていません(最判昭37.4.10)。
[参考] 戸籍法
第60条(届出事項)
認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 父が認知をする場合には、母の氏及び本籍
二 死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍
第61条(胎児の認知)
胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。
以上
高校生になる娘が妊娠してしまったようです。相手は学校の同級生であり、まだ17歳であるとのことです。娘はどうしても産みたいとのことですが、相手に生まれてくる子の父親として認めてもらう方法として、認知というものがあると聞きました。認知とはどのようなものですか。また、未成年者でも認知はできるのでしょうか。
【回 答】
結 論 未成年者でも認知は可能です。また、胎児中でも認知することができます。
以下、認知について基本的な解説をします。
1 認知の種類
認知には、任意認知と強制認知の区別があります。
任意認知とは、届け出によって行う認知のことをいいます。これに対し、強制認知とは、父が認知しないときに、子(その直系卑属又は法定代理人)が起こす認知に関する訴えをいいます。
2 任意認知
(1) 認知を行う者
民法779条では、嫡出でない子は、その父又は母が認知することができると規定されています。
ただし、「母とその非嫡出子との親子関係は、原則として、母の認知を待たず、分娩の事実により当然発生する」とするのが判例の立場であり(最判昭和37.4.27)、母の認知行為は必要ないこととされています。
したがって、認知が意味を持つのは婚外子の父子関係についてのみです。このような意味で、認知は婚外子の父子関係の成立要件となります。
(2) 認知の効果
法律上の父子関係は、認知によって生じ、その効果は出生のときに遡ります(民法787条)。これにより、相続権や扶養義務などの法律上の義務は、認知により生ずることとなります。
逆に言えば、これら法律上の相続権や扶養義務などは認知がないと生じないということです。なお、扶養義務は親権とは無関係ですので、認知されれば、親権者でない父に対しても子は扶養請求をすることが可能となります。
(3) 認知の方式
認知は、戸籍法の定める届出によって行います(民法781条第1項)。また、認知は遺言によっても行うことができます(同条第2項)。届出による場合は創設的届出であり、届出によって効力が生じますが、遺言による場合の届出は、報告的届出であり、効力は被相続人の死亡により生じていることとなります。
(4) 認知の要件
認知については、最低限意思能力が必要ですが、行為能力までは必要とはされていません。したがって、未成年者でも、また成年被後見人でも、意思能力があるかぎり法定代理人の同意なしに認知をすることができます(民法780条)。
認知は、父がいつでも自由に行うことができるのが原則ですが、例外もあります。
① 認知される子が成年者であるときは、その子の承諾が必要です(民法782条)。
② 胎児を認知する場合は、母の承諾が必要です(民法783条第1項)。
(5) 認知請求権の放棄
認知請求権を放棄することが可能かについては、判例は、これを認めていません(最判昭37.4.10)。
[参考] 戸籍法
第60条(届出事項)
認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 父が認知をする場合には、母の氏及び本籍
二 死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍
第61条(胎児の認知)
胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。
以上
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