マンション管理用語解説 マンションの重要事項説明
2012.05.13.18:12
マンションの用語解説をします。今回は、宅建業法におけるマンション(売買)の重要事項説明についてです。
■「宅地建物取引業法の重要事項説明」
1 重要事項説明の意義
マンションも当然不動産の一種ですから、この不動産取引において、宅地建物取引業者は、売買等の契約が成立するまでの間に必ず取引の相手方(買主等)に対して、取引主任者をして取引しようとする物件や取引条件に関する一定の重要な事項について、書面を交付して説明しなければならないとされています(宅建業法第35条)。
不動産は価値が高く、その損害も極めて高額となることから、専門的知識を有する取引主任者をして、取引の相手方に重要な事項を説明させることにより、取引の相手方が取引内容を十分理解した上で契約を締結できるようにするためです。これにより不動産に関する紛争を未然に防止しようとしているのです。重要事項の説明は、取引の相手方が売買等の意思決定をする上で重要な判断材料を提供するという役割をもっています。
2 説明事項
宅建業者は一定の事項について取引主任者をして説明しなければなりません。説明事項は、契約形態及び宅地又は建物により異なり多義にわたるため(宅建業法第35条)、ここではマンションの売買に特有の重要事項に絞ってお話しします。
宅建業法第35条第1項第6号では、取引の対象となっている建物がマンション等の区分所有建物である場合には、一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるものとされています(6号)。内容は以下のとおりです。
(1) 一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
敷地に関しては、原則として、総面積として、実測面積、登記記録上の面積、建築確認の対象とされた面積が、権利の種類としては、所有権、地上権、貸借権等の区別が、権利の内容としては、所有権の場合は対象面積を、地上権、貸借権等の場合は対象面積、存続期間、区分所有者の負担する地代・賃料等の額が内容となります。
(2) 共用部分に関する規約の定め
ここでは、規約共用部分に関する規約の定めの他、法定共用部分であっても規約で確認的に共用部分とする旨の定めがあるときはそれも含まれます。
(3) 専有部分の用途その他利用制限に関する規約の定め(案も含む)
この場合の制限としては、例えば、居住用に限り事業用としての利用を禁止したり、フローリング工事、ペット飼育、ピアノ使用等の禁止や制限に関する規約の定めがあります。この専有部分の利用制限が規約の細則等において定められている場合は、その名称の如何に関わらず、規約の一部と認められるものは説明が必要となります。
(4) 専用使用権に関する規約等の定め
専用使用権の対象となるものとしては、駐車場、専用庭、バルコニーなどがあります。特に駐車場については紛争も多いため、その内容としては、専用使用をなしうる者の範囲、専用使用料の有無、使用料を徴収する場合の帰属先等があります。専用庭などもほぼ同様です。
(5) 建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他当該建物の所有者が負担すべき費用を特定の者に減免する旨の規約の定め
新築分譲の場合に見られることが多く、購入者にとっては不利な金銭的負担が定められているため、当該規約の内容を説明しなければなりません。
(6) 建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定め及び既に積み立てられている額
いわゆる大規模修繕積立金や計画修繕積立金に関するものです。一般の管理費(通常の維持修繕に充てるもの)はここには含まれません。分譲マンションの場合は、修繕積立金の滞納金がある場合は、新たに所有者となった者がその滞納額を負担しなければなりません。したがって、積立額とともに滞納額がある場合はそれも含めて説明する必要があります。
(7) 区分所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
通常の管理費用とは、共用部分に係る共益費用等に充当するため区分所有者が月々負担する経常的経費をいいます。この管理費用の滞納額についても新所有者が負担することになるため、滞納があるときは、その額を説明しなければなりません。
(8) 管理の委託先
管理業者などの管理を委託している場合は、その委託先の氏名及び住所(法人の場合は、その商号又は名称及び主たる事務所所在地)を説明しなければなりません。
3 その他の説明事項
以上は、マンションに特有の説明事項ですが、その他に以下のような他の契約形態との共通の説明事項もあります。
(1) 取引の対象となっている宅地又は建物の上に存する、登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあっては、その名称)(1号)
(2) 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概略(2号)
(3) 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項(3号)
(4) 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)(4号)
(5) 取引の対象となっている宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項(5号)
(6) 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的(7号)
(7) 契約の解除に関する事項(8号)
(8) 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項(9号)
(9) 宅建業法第41条第1項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は宅建業法第41条の2の規定による措置の概要(10号)
(10) 支払金又は預り金を受領しようとする場合における保全措置の概要(11号)
(11)代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置(12号)
(12) 取引の対象となっている宅地又は建物の瑕疵担保責任の履行に関する保証保険契約の締結等の措置の概要(13号)
(13) その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して国土交通省令で定める事項(14号)
※ 以上は、「宅地建物取引の知識 平成22年度版」不動産取引研究会編著・住宅新報社・732頁以下を参考にしました。
■「宅地建物取引業法の重要事項説明」
1 重要事項説明の意義
マンションも当然不動産の一種ですから、この不動産取引において、宅地建物取引業者は、売買等の契約が成立するまでの間に必ず取引の相手方(買主等)に対して、取引主任者をして取引しようとする物件や取引条件に関する一定の重要な事項について、書面を交付して説明しなければならないとされています(宅建業法第35条)。
不動産は価値が高く、その損害も極めて高額となることから、専門的知識を有する取引主任者をして、取引の相手方に重要な事項を説明させることにより、取引の相手方が取引内容を十分理解した上で契約を締結できるようにするためです。これにより不動産に関する紛争を未然に防止しようとしているのです。重要事項の説明は、取引の相手方が売買等の意思決定をする上で重要な判断材料を提供するという役割をもっています。
2 説明事項
宅建業者は一定の事項について取引主任者をして説明しなければなりません。説明事項は、契約形態及び宅地又は建物により異なり多義にわたるため(宅建業法第35条)、ここではマンションの売買に特有の重要事項に絞ってお話しします。
宅建業法第35条第1項第6号では、取引の対象となっている建物がマンション等の区分所有建物である場合には、一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるものとされています(6号)。内容は以下のとおりです。
(1) 一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容
敷地に関しては、原則として、総面積として、実測面積、登記記録上の面積、建築確認の対象とされた面積が、権利の種類としては、所有権、地上権、貸借権等の区別が、権利の内容としては、所有権の場合は対象面積を、地上権、貸借権等の場合は対象面積、存続期間、区分所有者の負担する地代・賃料等の額が内容となります。
(2) 共用部分に関する規約の定め
ここでは、規約共用部分に関する規約の定めの他、法定共用部分であっても規約で確認的に共用部分とする旨の定めがあるときはそれも含まれます。
(3) 専有部分の用途その他利用制限に関する規約の定め(案も含む)
この場合の制限としては、例えば、居住用に限り事業用としての利用を禁止したり、フローリング工事、ペット飼育、ピアノ使用等の禁止や制限に関する規約の定めがあります。この専有部分の利用制限が規約の細則等において定められている場合は、その名称の如何に関わらず、規約の一部と認められるものは説明が必要となります。
(4) 専用使用権に関する規約等の定め
専用使用権の対象となるものとしては、駐車場、専用庭、バルコニーなどがあります。特に駐車場については紛争も多いため、その内容としては、専用使用をなしうる者の範囲、専用使用料の有無、使用料を徴収する場合の帰属先等があります。専用庭などもほぼ同様です。
(5) 建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他当該建物の所有者が負担すべき費用を特定の者に減免する旨の規約の定め
新築分譲の場合に見られることが多く、購入者にとっては不利な金銭的負担が定められているため、当該規約の内容を説明しなければなりません。
(6) 建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定め及び既に積み立てられている額
いわゆる大規模修繕積立金や計画修繕積立金に関するものです。一般の管理費(通常の維持修繕に充てるもの)はここには含まれません。分譲マンションの場合は、修繕積立金の滞納金がある場合は、新たに所有者となった者がその滞納額を負担しなければなりません。したがって、積立額とともに滞納額がある場合はそれも含めて説明する必要があります。
(7) 区分所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
通常の管理費用とは、共用部分に係る共益費用等に充当するため区分所有者が月々負担する経常的経費をいいます。この管理費用の滞納額についても新所有者が負担することになるため、滞納があるときは、その額を説明しなければなりません。
(8) 管理の委託先
管理業者などの管理を委託している場合は、その委託先の氏名及び住所(法人の場合は、その商号又は名称及び主たる事務所所在地)を説明しなければなりません。
3 その他の説明事項
以上は、マンションに特有の説明事項ですが、その他に以下のような他の契約形態との共通の説明事項もあります。
(1) 取引の対象となっている宅地又は建物の上に存する、登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあっては、その名称)(1号)
(2) 都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概略(2号)
(3) 当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項(3号)
(4) 飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)(4号)
(5) 取引の対象となっている宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項(5号)
(6) 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的(7号)
(7) 契約の解除に関する事項(8号)
(8) 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項(9号)
(9) 宅建業法第41条第1項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は宅建業法第41条の2の規定による措置の概要(10号)
(10) 支払金又は預り金を受領しようとする場合における保全措置の概要(11号)
(11)代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置(12号)
(12) 取引の対象となっている宅地又は建物の瑕疵担保責任の履行に関する保証保険契約の締結等の措置の概要(13号)
(13) その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して国土交通省令で定める事項(14号)
※ 以上は、「宅地建物取引の知識 平成22年度版」不動産取引研究会編著・住宅新報社・732頁以下を参考にしました。
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