本日の記事の第2弾はエンディングノートについてです。
最近よく聞く言葉ですね。書店などにいっても実に多くのエンディングノート本が並んでいたりします。
じゃあそれって遺言書とはどう違うのか。
「エンディングノート」とは、自分の終末期や死後に家族にこうしてほしいという希望や、生い立ち、配偶者や子への思いなど伝えておきたいことを記しておくノートのことです。
遺言書との違い
1 遺言書は遺言者の意思に法的な効力(拘束力)を認めますが、エンディングノートに記載された内容に法的な効力(拘束力)はありません。
2 遺言書でできることは、民法または法律で決められています。すなわち、①認知、②未成年後見人の指定、③後見監督人の指定、④遺贈、⑤遺贈減殺方法の指定、⑥寄附行為、⑦相続人の排除及び排除の取り消し、⑧相続分の指定及び指定の委託、⑩特別受益者の持ち戻し免除、⑪遺産分割方法の指定または指定の委託と遺産分割の禁止、⑫共同相続人間の担保責任の指定、⑬遺言執行者の指定及び指定の委託、⑭信託の設定、などです。「付言」事項として、遺言者の希望を遺言書に書くこともできますが、これはあくまで希望であり、拘束力をもつものではありません。
これに対し、エンディングノートには記載事項の限定はありません。自分の思い、希望を自由に書いてもかまいません。確かに法的な効力はありませんが、ご家族に本人の生前の意思を明確に伝えるという点で、現実には、後の揉め事を回避する働きを持ちます。例えば、自分のお葬式の方法(費用、家族葬、連絡先、音楽など)、埋葬の方法(墓の希望、散骨の希望など)、さらには終末期医療の選択や、尊厳死、臓器提供の有無なども記載することができ、治療を見守る家族にとってもあわてないようにすることができます。さらに、遺影使用して欲しい写真を用意しておいもよいでしょう。思った以上にいざというときの遺影用の写真が見つからないことが多いものです。
書店などに行くとかなり多くのエンディングノートが販売され、かえって混乱してしまいそうです。しかし実は、どの市販本でも大体以下の内容で共通しています。以下、エンディグノートに記入する項目の例をあげます。
1 自分の経歴と人生の思い(自分史)
2 終末期医療についての希望、告知の可否、治療法
3 尊厳死や臓器提供についての希望、献体意思の有無
4 臨終に立ち会ってほしい人、もしもの時に連絡してほしい人
5 通夜・葬儀に呼んでほしい人、訃報を知らせてほしい人
6 葬儀についての希望
7 葬儀費用の希望
8 埋葬法(お墓)についての希望
9 遺言書の有無と保管場所について
10 形見分けについての希望
11 遺影用写真
12 その他
エンディングノートから遺言書の作成へ
いきなり遺言書を書くのは抵抗もある方も多いと思います。そのようなときは、まずエンディングノートを作成して、徐々に思いが整理されてきたときに、遺言書を作成したらいかがでしょうか。
ノートに筆記具(万年筆など)で書いてもよいですが、パソコンのできる方は、まずはパソコンで下書きを作成し、徐々に書き上げていってもよいでしょう。最初はあまり力まずに、自分史や日記などを書くつもりでスタートするのがよいかと思います。
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